線路の向こう側

 

PMDDに悩み、ピルを飲み始めた。経血量と生理痛は軽くなった。薬を飲めば治るくらい。

しかし休薬期間でみるみる落ち込み、私は街を歩きながら泣きまくった。電車でも泣いた。職場でもひっそり泣いた。泣きながら電話を取った。電話先がどう思ったのかは聞けない。

すこぶる上司とうまくいかず、(というか上司が私の扱いに困っているのをありありと感じる)、今日も不安定になることが予測されたので、休んだ。家でも泣いた。犬が私の涙を不思議そうに見て、少しだけ舐めてから、近くで寝そべって、一眠りしたらまた出て行った。

 


私の月経前症候群の症状は、とにかく落ち込むというものだ。もともと無いに等しいのに、そこから信じられないくらい自己肯定感が下がる。運転時は危ない。右折ができないのだ。右折レーンに入る勇気が消える。右折していいかどうかがわからない。ただひたすらまっすぐ進むしかできなくなる。パニックになって、近くのホームセンターの駐車場に入り(左折で入れたからね)、ひとしきり泣いたことがある。普通に危ない。不便。帰れないし。

 


今回は、環境が変わるストレスもあったし、仕事でミスをしたのもあって、メンタル土壌がそもそも最悪だったから、余計ひどかった。

ここまでコントロールができないと、生活に困る。仕事も困る。迷惑をかけそうな日は休んでるから、有給が一切溜まらなくて、私はいつも焦っているし、上司は多分嫌がっている。まあ、そらそうだね。

 


今日は仕事を休み、当日受診ができるメンタルクリニックに電話したが、今週は空きがないと言われた。メンクリっていつも混んでる。一ヶ月後に予約? その間はどうすんだ? といつも思う。

メトロポリタン口で半泣きになりながらどうにか婦人科に予約をして、時間までずびずび鼻を啜りながら書店に行った。読みたかった本を買った。『もの食う人々』『世界最悪の旅』『最後の探検家』。あとは『星を継ぐもの』の表紙が印刷されたトートバッグがあったのでなんとなく買った。昔少しだけ読んだことがあるな、と思って調べたら、私が読んだのは『星々の生まれるところ』だった。全く知らないSF小説のグッズを買ってしまった。私って感じだ。

荷物は全部そのトートに詰めて、それから病院に向かった。

 


病院は混んでいた。あらゆる女がいた。この女たちもあらゆることに困ってるんだなと思うと気持ちが楽になった。いろんな問診票を書き、セルフで血圧を測り、サバけた看護師長に説明を受ける。私が使っていたピルはPMDDには向かないらしい。常にホルモンを一定にするものがいいだろうと保険適用のものを勧められ、それに決めた。医師とも話す。精神科を平行して使っても構わないし、専門外来への紹介状も必要なら書くからねとのこと。不安だったので、漢方も出してもらった。今日から飲むことにする。粉薬は死ぬほど嫌いだが、飲まないと私は社会的に死ぬだろう。念じて飲む。

処方してもらった薬で、星を継ぐものトートをパンパンにしながら、池袋を歩いた。

 


道中、友人から何かあったのかとラインがあり、文面を読んで泣く。デパートの屋上に向かい、液晶の中の何かあった?の文字を見つめる。何もかもがあったような、何もかもがなかったような気持ちになる。結局、いつもの病気だと伝えた。優しい言葉をたくさんくれた。私の友達は優しい言葉をたくさんくれる。母親も「あなたのことは心配だけど、友達がいい子ばかりだから大丈夫ね」と言っていた。私もそう思う。

 


先週は苦しかった。もう存在したくないと思った。私には価値がない、という事実を毎秒毎秒重ねられていくような気持ちになった。自分に価値がないことを知る日々を生き抜く勇気がさっぱり持てなかった。"死にたさ"が、湯気のようにお腹から立ち上ってくるのを感じた。きっと子宮からだ。生物として矛盾しすぎではないかと思う。人間って適当だ。

ルミネの屋上でこれを書いてる。HAIMが流れている。帰らなくてはならない。右に曲がりたかったら、左に三回曲がればいいだけだ。きっとそれだけの話だ。

 


帰って犬を撫でながら泣いた。犬はいつでも柔らかく、温かい。いのちの形をしてる。

 

 

 

 


以下最近見たものの話。

 


・令和版夜のミステリー

オーディオドラマ。なんかの賞を取っていたので聞いた。元ネタは昭和にやっていたらしい。1〜3話までしか聞いてないけど、夜一人で聞くのはちょっと躊躇うかも。脚本の出来はさておき、音響がよいのと、演技が自然なのがよい。

 


・Loki

私はコミコンでトムヒと写真を撮ったあと、号泣しながら幕張の床を抱いたことがある。レトロフューチャーな世界観が良い。セルフラブの話でもある気がするので、ものすごく私に刺さりそうで怖い。続きが待ち遠しい。

 


・一度きりの大泉の話

現代版の藪の中みたいだ。竹宮惠子の『少年の名はジルベール』も読むべきだろうが、面白おかしく追う気持ちになれずにいる。

 


宇多田ヒカルのインスタライブ

庵野秀明との話が面白かった。お互いに喪失からの立ち直りを描いている…とかの話。あとはノンバイナリー発言が、当事者から苦言を呈されているのを見た。ポップに漂白されることの危惧ということだろうか。色々知らないといけない。最近はBLUEを聴いている。私はこの曲がなんだか好きなのである。

 


・じゅじゅとーく

Spotifyでやっていた呪術廻戦ラジオ。雑なコーナーがなく、演技論の話ばかりをしていたので面白かった。榎木淳弥くんのことは全然知らないんだけど、アイドル声優(扱いをされているのかも知らないが……)と役者の狭間で自意識を確立しようとしてる様子が、なんだか若く、熱くてよかった。それを暖かく見守るベテラン声優陣とのやりとりも楽しい。榎木くんの演技は虎杖悠仁にぴったりだった。個人的にはBEASTARSのジャックも好き。

 


・虎鶫

ヤンマガで連載してる漫画。フランスで先行公開されていたらしい。放射線に侵された旧日本にやって来た死刑囚レオーネと足だけが鳥の形をした少女のつぐみの話。終末版ゴールデンカムイ(身も蓋もない例え)。核戦争を終え、日本人が全員異形になっているようである。続きが楽しみ。

 


山本リンダ

昔の歌唱動画を見ている。かなり元気になる。

この世は私のためにある。

 


・ゆっきゅんのZINE

わたしってDIVAだったんだ…と思った。

noteも読み始めた。ゆっきゅんが行ったピューロのイベ私も行ったよ。隆最高だったわね。