まぁ神様のアドリブで 世界なんて終わるから

 

lyrical school の現体制ラストライブを見に野音に行った。minan以外の4人が卒業するのだ。私なんてファン未満の人間が書いてもな…とも迷ったけど、自分の思い出として残しておく。


私がリリスクを初めて見たのは、2019年のピューロランドでやっていたオールナイトイベントだった。出演者も色とりどりで(ここで初めて長谷川白紙を見た)、サンリオキャラとのコラボも楽しくて(スチャとポムのブギーバック、オザケンパートをポムが歌い出した時の会場の盛り上がりったらない)、とても思い出になったイベントだったんだけど、リリスクもとってもよかった。

始まる前、ちょうど私の横に出演者だった木村昴が来て、連れ合いに「この子達マジでイカしてんのよ〜」と話しているのが聞こえた。そうかイカしてるのか…と思いながら見た。マジでイカしていた。ステージいっぱい縦横無尽に動き回る様も、ラップのスキルも、アイドルらしいレスも(これは木村昴が横にいたからかおこぼれで鬼ほど貰えた。ありがとう昴)あって、こんな子たちがいるのか!と思った。

それからなんとな〜く新譜を追うようになって、PESの曲いいなあとか、KMの曲カッケー!とか、レイチェルの歌詞合ってんな〜とか、フリースタイルでの「布マスク二枚 マジ悪夢みたい」に感動したり、リリスクの対バンイベントにも行ったり(valkneeも FNCYも最高だった)して、本当に緩く追っていた中での、現体制終了だった。新アルバム『L.S.』がとてもよく、今回は絶対ツアーに参加しようと思っていたところだったので、「推しは推せる時に推しとけ」の言葉が頭をよぎった。だけど自分のタイミングがあることだから仕方がない。今やれることをやるだけだ。私はチケットを取った。


有志からサプライズで掲げる用のサイリウムが渡される。丁寧な説明のチラシに既に泣きそうになる。夏の野音は暑い。塩分チャージを何個も食べる。後ろのヘッズ(リリスクファンの呼称)はもうベロベロに酔っ払っていて、うるさい。「まもなく開演です」とスタッフが拡声器で叫ぶ。会場には真心ブラザーズサマーヌードが流れている。後ろの限界を迎えたオタクが「青春が壊れる音がする!」と叫ぶ。みんなの人生がここにある。今ここに。


リリスクの皆は、普通に出てきた。そして楽しく音楽に乗って、普通に去っていった。進退も言わず、大袈裟な涙も言葉もなく、アンコールもなく、じゃあねって笑って去っていった。その呆気なさと切なさと楽しさに「ああ私、きっともっと好きになれたなあ」と思った。

minanの眼差し、hinakoの愛嬌と涙、risanoのパワー、yuuの言葉、himeの潔さ。私でさえグッと来たのに、五年間彼女たちが心の真ん中にいた人はどんな気持ちだったんだろう。

(私が聴いた限りなので不確実な印象とは断っておきたい)リリスクには、今この一瞬、に対する楽しさと、終わりへの屈託のないポジティブな諦めがあるような気がしてて、その明るくて切ない雰囲気が好きなんだけど、夏の空が色を変えていく様と、ステージで思い思いに動いているメンバーと、客席から出ている終わってほしくないという熱気が、その雰囲気とものすごく噛み合っていた。過度にエモーショナルに走らない、だけど私たちは終わることを知っていて、その時までこの一瞬の楽しさを分かち合っている。

アイドルってなんだろうと常々思っている。特に女性アイドル。仕組みやシステムが気に入らなくて、のめり込めない。魅力的で、儚い。その儚さを好きになっていいのか、という自己嫌悪。応援することの暴力性や、対等にはなれない不思議さ。寿命、"劣化"(なんて嫌な言葉なんだ)、限界。そんな言葉ばっかりついて回る。なにかと軽んじられたり(アイドルなのに、とか、アイドルを超えた、とかよく褒め言葉で使われる)、若い子たちにとっては苦しかったり厄介なことが多かったり、だけどたくさんの人が救われてる。2020年になって世界がおかしくなって、多くのグループが解散してしまった。イベントで採算が取れない、接触ができない、理由なんていくつも見つかる。アイドル。嘘で作られた虚飾の世界。


私は、私たちのリアルを野音で感じた。未来に対するやるせなさも、どうにもできない悔しさも、これからに対する不安も、だけど今ここでみんなと分かち合える楽しさも。LAST DANCEの間奏で「そんなに泣かないで。最後まで笑ってね」と前列のファンに笑いかけるhime。どうなってもこんな世界が続くなら、私たちは笑っていくしかない。たまに怒ったり、泣いたりしながら、それでも笑っていくしかない。かもしれない。癪だけど。笑ってたいし。やっぱ。

 

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チェキくじ、背の順のみんなだった。

 

 

最後のシーン どんでん返しより

愛とかピース 愛とかピース

(LAST SCENE)