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昼と夜が逆転している。

昼に眠ってしまうのは、誰かが起きて活動しているのを見るのが辛いからだ。眠るのは目を閉じること。見なくて済むなら寝る。夜は私しか起きていないので、安心する。世界が止まっている気がする。朝に鳥の鳴き声を聞いてから寝る。

やめたい。今日だって犬の散歩に行こうと思ったのだ。三時に行こう、四時に行こう、五時に行こう、六時に……と思ったら父親が帰ってきて、まだ散歩に行ってないの、と私ではなく犬に聞く。私は悲しくなって部屋に戻り、布団をかぶる。父親が犬と出ていく。そのドアの音が怖い。

母親がため息をつきながら料理をする。手伝えばいいのに、私は眠る。全然眠たくなくて、辛い。

 


職場の人から連絡が来る。

パートのおばさんからラインが来て、元パートの人からちょくちょくラインが来て、取引先のおじさんから電話が来る。電話は、怖くて出れない。SMSが届いているのも、怖くて見れない。パートの人にはラインを返して電話を返さないのはおじさんにバレていると思う。そういうつながりがあるから。そうなると怖い。触れられない。見なくて済むために、寝る。

友達のラインも、あんまり返してなくて、なんか難しい。できる時はできるので、ガーっと返して、すぐ忘れてしまう。あんまりにも返信が遅くて、『死んだ?笑』と言われ、死んだよ、と思った。誰かの苛立ちや、悲しみを、必要以上に多く感じ取って、私のせいだ、と思う。

 


全然大丈夫じゃん、と、あれやっぱだめかも、と、全然無理、の間を漂ってる。だけどこれは病気ではなく、性質な問題な気が強くして、悲しい。きっと治らない。

病院なんて行ってなんの意味があるんだろう。

あの細い男に何を話せばいいんだろう。金曜日は病院の日で、それが怖い。あなたはどこも悪くありません。ただ怠けているだけですね。お薬は出せません。仮病なので。

 


はあ、そうですか。

 


眠くないのに眠っている。隣国で戦争が起こっている、その誰かが死んでいる今を、私は無駄にしている、という文章の薄っぺらさと、それを気付いて俯瞰で見ている気でいる今の自分と、文字に書かずにはいられないでいる自意識の高さと、冷笑主義のつもりでいるような自分に喉が詰まって、気持ち悪い、気持ち悪ぃな、はあ