ほらねあたし

私について書きたいことはない。
(のは、嘘で、結局承認欲求の塊のような私は、いつか自意識によって死ぬんじゃないか、と不安になります。殺されるんじゃないか、というほど加害性もなく、私が勝手に自滅する、ということです。自分の承認欲求を本当に肯定できず、むかつきます常に)
物語を委託することへの罪悪感がある。
どうにかなれるのだろうか。これから?


宇多田ヒカルのBADモードが本当に名盤で、配信解禁の深夜にぶん殴られて、通勤電車でフルで聞いてどうやってこの後働くんだ?とマジで不安になった。スタジオライブの配信も見て、今まで見たオンラインライブの中で一番音が良くて、音、音が楽しいのが分かって、グルーヴが目に見えるようで、もうボタボタ泣いた。
私はfantomeから宇多田ヒカルが好きになった。初恋も好きだった。laughter in the darkで、初めて生で見た。ディーヴァを見たと思った。横浜アリーナは彼女にはとても狭かった。
間近で見る宇多田ヒカルは、小さくて、少女みたいで、誰がこの人を守ってくれるんだろう、
と不安に思うくらいだった。MCもへたくそで、ずっと照れているように話して、申し訳なさそうに曲が始まると思うと、恐ろしいほどの歌声が響いて、「喋れないけど歌えるよ」という歌詞が体の芯から理解ができた。魅力的な人だった。あまりにも圧倒的だった。
歌の力だけで感動して泣いてしまったのは、宇多田ヒカルのライブでだけだ。
(嘘です、ピューロランドの川島明でも泣きました)


宇多田ヒカルの歌詞が昔は全然好きじゃなくて、なんでこんなところで年賀状の話すんだろ?とか、急な俗っぽさとか、リアリティとか、それっぽくてよくわかんないことばっか言ってんな~とか、とにかくもやもやしていた。
でもその彼女のユーモアが、逆に闇の濃さを恐ろしいほどに増すことがあって、それにゾッとしたのだった。今まで彼女が背負ってきたものが、浮き出て見える時がある。そこまで自分を晒しながら、このクオリティで、大多数に届く音楽を作ること自体が、異常すぎる。全部歌にしている。歌にせずにはいられない、のか、歌わないと生きていけない、のか、わからない。
悲しい話はもうたくさん、と、彼女が歌ったときに、私はもう我慢できなくて、ずっと泣いていた。


BADモードは、今回のアルバムは今までで一番内省的なものになる、という本人の呟きを見てからずっと楽しみにしていて、しかしその期待を全部超えていった。わあ、と泣いてしまう。完全にコントロールされている音たちが、だけど自由で、なのにちゃんと近いところで鳴ってくれるのだ。変なリズムなのに、もたっていて、全然歌えないのに、だけど泣いてしまう。
メロディーを追うというよりは、リズムにピッチがついているみたいなんだと宇多田が自分で言っていた。譜割の奇妙さは自分では、へー、という感じのようなのだ。もちろん、その違和感をフックにしているみたいだけど。

 


好きだった歌詞

Here's a diazepam We can each take half of
Or we can roll one up
However the night flows

向精神薬を二人で分け合ってもいいし、さもなくば葉っぱでも吸おうぜ
夜は流れちゃうけどよ 的な?)

 

エンドロールの 最後の最後まで 見たがる 君の横顔が 正直言うと 僕の一番 楽しみなとこ 楽しみなとこ

(エ ンドロールの さ いごのさいご ま でみたがるき みのよこがお が   しょ うじきいうと ぼ くのいちばん た のしみなとこ た のしみなとこ  という譜割なのも好き)

 

吹いていった風の後を 追いかけた眩しい午後

(余韻のためだけにある歌詞 なきゃダメな歌詞)

 

王座になんて座ってらんねえ 自分で選んだ椅子じゃなきゃダメ

(pink bloodはとにかくセルフラブで全部パンチライン

 

時を戻す呪文を君にあげよう

(解釈が分かれるところだけど途方もない赦しだと思って)

 

ロエベの財布から出したお札で 買った詩を読んだ

(この歌詞全部私小説的でいい ヒップホップ)

 

感じたくないことも感じなきゃ 何も感じられなくなるから

(これは 本当に そうなんだよ)

 

オーシャンビューの部屋一つ オーシャンビュー 予約 オーシャンビューの部屋一つ
予約 予約

(この曲 よすぎる よすぎる なんで?)

 


好きな歌の好きな歌詞のことを

君とずっと話したいよ